2017年4月1日 ジョアン・ハリファックス博士講演会を終えて

By 2017-04-02 Blog No Comments
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この半年間、一番時間と熱意を傾けてきたイベントが昨日で終わりました
Being with Dying「死にゆく人と共にあること」という医療従事者向けのトレーニングコース、そしてそのエッセンスをまとめたGRACEプログラムを開発された、ジョアン・ハリファックス博士を福井にお招きして、日本の医療現場を見ていただき、実際にGRACEを福井赤十字病院緩和ケア病棟スタッフがどのように実践しているのかを見ていただくことが出来ました。
午後からは、医療関係者だけでなく、多くの一般の方々もジョアン博士の言葉を直接聴く貴重な機会となりました。

個人で開催することになり、がん診療や緩和ケアに関わる大先輩である医師の方々に、励ましのお言葉をいただくこともあれば、厳しいご意見をいただくことも、正直ありました。
でも、その全てが、自分の初心を思い出させてくれ、自分が本当に成し遂げたいことを明確にしてくれる原動力になりました。
自分が大切だと感じることに気づかせてくださった方々に、心から感謝しています。

私自身がGRACEの存在を知ったのは、2年前でした。ジョアン博士の著書「死にゆく人と共にあること」を手に取ってからまもなく、私は医師としてだけでなく、がん患者の家族として、医療現場を見る経験をすることになりました。
ジョアン博士の本を、何度も繰り返し読みながら、父のそばに寄り添えたことで、
癒しとは何なのか、
命の尊さとは何なのか、
人として真の幸せとは何なのか、
何が「永遠の命」と言われるものなのか、
そして、本来誰もが持っている変換の可能性に気づかせてくれました。

私自身が「死にゆく存在であること」
そして「知らない」ということを謙虚に自覚し、そのうえで自分の五感を曇らせている障害を出来るだけ薄めて相手をただ感じるということ。
それがあって、初めて自分の中にすでに備わっている経験や知識や智慧が、自然に湧きあがるようにして相手に向けられるのだということ。
それが、本来は医療の根底にあるべきCompassionなのだということ。
それを、腹で感じた時間でもありました。

私自身が癒され、支えられたGRACEを、もっと多くの方に知ってもらいたい。
沢山の必要としている方に、ジョアン博士から直接言葉を感じてもらいたい。

その想いだけで半年間(実際には、4か月インドに行っていたので、本当に短いのですが。笑)走り続けてきました。

インドに出発するまでの2か月弱の間に、どうやってこれだけ準備が出来たのか、今でもよく思い出すことが出来ません。信頼できる仲間(萬典子さん、時友真理子さん)に恵まれ、支えてもらい、時には私の甘さ・未熟さを厳しく指摘してもらえたことは、私の様々なことに関する認識を変えてくれました。本当に感謝しています、有難う。

この講演会を契機にして、必要としている多くの方々にGRACEの実践が認知され普及していくことを願っています。
医療現場だけではなく、困難を感じるすべての場面で活用されていくことが、ジョアン博士がGRACEを考案された時の願いに違いないと感じています。
実践的な道具として初めて、その価値が発揮されるGRACE。
困難に向き合う時、その辛さと同時に、かけがえのない気付きの機会が潜んでいるのだということ。それは、「生」の喜びに繋がり、自分の本質的な部分に気づく大きなチャンスであるということ。

Being with DyingのトレーニングやGRACEを学んで一番良かったことは、私が11年に渡り直接学んできた師、Shri O.P. Tiwariji (from Kaivalyadhama Yoga Institute)から学んできたヨーガが、癒しの全ての因子を網羅した、科学的な実践体系であると確信出来たことです。だからこそ、それまで福井赤十字病院の緩和ケア病棟で、ヨーガの時間として伝えていた実践が、サンタフェでのBeing with Dyingトレーニングの後すぐに、GRACEの実践として応用出来たことに繋がりました。

関わってくださった多くの皆様に心より感謝致します。
有難うございました。