「生きる」から<生きる>へ ~マインドフルネス講座 by 藤田一照先生~

今日は、慶應義塾大学信濃町キャンパスで、がん・緩和ケアワークショップに参加してきました。
講師は、曹洞宗国際センター所長の藤田一照先生。
「身体から入るマインドフルネス」というテーマで、理論と実践。

マインドフルネスは、特に最近、メディアでも話題になっていますが、その「マインドフルネス」と本来の仏教で言われている<マインドフルネス>について、短い時間でポイントをまとめて説明してくださいました。
その説明の中には、当然ヨーガと共通する内容も沢山あり、それを違った角度から説明してくださって、アハ~とようやく納得がいったこともたくさん・・・。

がん・緩和ケアワークショップとしての「マインドフルネス講座」だったので、当然 医療的なケアに関することを説明に多く入れてくださり、日々の臨床にすぐに応用できそうなヒントに溢れた内容でした。
その中でも、印象に残ったことを少しまとめてご紹介します。

1)マインドフルネスはスイッチのオン・オフではない。

→昨年の9月にヴェーダンタのワークショップでお招きした、スワミジが「瞑想は24・7である。」と言っていたことと通じます。常にマインドフルな状態であること。それが瞑想的に生きるということ。

2)ケア提供者が自分自身を顧みないと、相手をモノ扱いしてしまう。
強引に(余分に、過剰に)相手を動かしてしまう。
自分のことも考慮に入れて相手に向き合う。

→これは、GRACEのコンセプトの中でも重要なポイントになっていると思います。まずは自分に波長を合わせる。自分自身に向き合うことが出来て初めて、相手の状態を知ることが出来ます。Top downで、頭で考えていた(準備してきた)ことを、相手のニーズの有無に関わらず提供してしまうことが少なからず起きていて、それがいろんなズレ、摩擦を引き起こします。

3)~現在のマインドフルネス~
今起きていることに価値判断をはさまずに眺める。
*現在重視 present oriented
*価値判断をはさまない。Non judgmental (価値観をはさめなくなる!)
もともとのマインドフルネスは「記憶」という意味も含んでいる。記憶=過去のこと。不忘念
本来は、今の中に過去と未来が含まれているから、豊かな今。
現在重視は、やせ細った今。

→強制的に「今」だけにとどまる、ではなく、「過去」にも「未来」にも心がさまよっていることに気づきつつ、それに巻き込まれず、グラウンディングしている安心感にとどまること。もしこの解釈でいいとしたら、このマインドフルネスの考え方は、とても優しく、マインドの働きに巻き込まれがちになる人への愛を感じます。豊かな今、は、困難な中にいる人に安らぎを与えるものになると感じます。

4)言葉は体験を支えるもの。

→ティワリジ(カイヴァリヤダーマ・ヨーガ研究所の所長でハタ・ヨーガのマスター)は、本質的なものは言葉では表すことが出来ないもので、経験するものである、とおっしゃいます。言葉は体験を支えるものではあるけれど、体験そのものではない。でも、その言葉によって、自分の世界を作り上げているということに気づくこと。

5)マインドフルネスはテクニックではなく、アートである。

→ヨーガはArt of Livingである、とカイヴァリヤダーマで学んできました。テクニックではなく、在り方。自然と湧き上がるように生まれてくるもの。
マインドフルネスも「アートである」と聞いたことで、自分の中で何かがつながった感覚がありました。

6)「既製品・学んだもの」から、学びほぐし<独特のもの・独自のもの>へ。
学びほぐすためには、腑に落ちた理解が大切。

→今日のマインドフルネス講座で一番、臨床に活きると感じた言葉です。
「」と<>の中に入れる言葉で、真っ先に浮かんだのが(生きる)。
「生きる」から<生きる>へ。
緩和ケアで出会う方々に、一番伝えたいことかもしれません。
<生きる>ことに気づくことが出来れば、その一瞬一瞬が永遠になる。

実践も微細な動きを感じていくところは、アーサナの基本に忠実で、とても分かりやすいインストラクションで、かつ違った角度からの説明は新鮮でした。

沢山のヒントをいただけた1日でした。
藤田一照先生、この会を開催してくださった慶應義塾大学のがん・緩和ケアチームの先生方・スタッフの方々、貴重な学びの機会を有難うございました。