【2025年GRACE研修会 in 奈良・明日香村】
たくさんの気づきと共に、無事に終了しました。
昨年末の年次大会に続き、今回も研修会の進行サポートを担当させていただきました。ハイブリッド開催ということもあり、私が最も心を向けたのは、会場参加の方にもオンライン参加の方にも、安心して集中できる時間を届けること。そして、時間とエネルギーを注いで準備してくださった講師の皆さんが、安心してその想いを伝えられる環境を整えることでした。
また、実行委員として関わるメンバー全員が、心地よく会場を後にできるような時間を共にできたら…それが今回の私の密かな目標でもありました。
少しヒヤッとする瞬間もありましたが、それも含めて「今、私にできること」に丁寧に向き合えた気がしています。
メディアチームの京都文化社さんをはじめ、運営に関わる全員がGRACEを学び、思いやり(コンパッション)を実践していることもあって、今回はいつにも増して現場全体がとても穏やかな空気に包まれていました。そんな空気の中で過ごした3日間は、私自身にとって多くの気づきをもたらす時間でもありました。
特に今回のサポート役は、どこか懐かしい感覚がありました。そして2日目の朝、ふとその正体が分かりました。
それは、私が外科医として手術室にいた頃の感覚。
新人時代、夕方からの器械出しを率先して引き受けていた頃のこと。
形成外科での研修中、深夜の手術で微小血管吻合が上手くいかず何度も挑戦する術者を、空気づくりで支えようとしていた頃のこと。
そして、自分が術者となった後、チーム全体の流れと士気を見ながら手術を進めていた頃のこと…。
そうした記憶と身体感覚が、今回のサポートと重なっていくのを感じました。
出来る限りのことをやり切って迎える手術後の、あの疲労の中にある充実感。私は、あの感覚が好きだったのだと、思い出しました。
そして今回改めて気づいたのは、医療現場で自然に身につけてきた「場を引っ張る力」や「判断を委ねられる立場での決断力」を、私はどこかで“ワンマン”と捉えてしまい、日常生活の中ではあえて封印しようとしていたことです。
けれど本来それは、人を支え、場を整えようとする私の自然なあり方だったのかもしれない…。
遠慮や謙遜のかたちを借りて、自分の力を押し込めていたことが、知らず知らずのうちに自信のなさや閉塞感につながっていたのだと、今回の体験を通して気づかされました。
GRACE研修会という“自分らしさ”を受け入れてもらえる場で、思うままに動き、表現できた今回の機会は、私の中で眠っていた自分自身を、もう一度息づかせてくれたような温かい時間でもありました。
ジョアン老師の静かで力強い言葉。
ウェンディ医師の、経験に裏打ちされた深くて生々しい語り。
二人を支える通訳・君子さんの丁寧な橋渡し。
三者の信頼と尊敬が滲み出るやりとりのすべてが、今回はこれまで以上に胸に染み入りました。
そして、日本のGRACEチームの講師陣もまた、昨年よりさらに深まりと優しさを感じさせてくださる素晴らしい方々ばかり。本当に、こんな場に関わらせていただけることに、心からの感謝しかありません。
インカム装着は2回目。耳介の痛みを途中で和らげる対処が出来たことで、自分に余裕が生まれたことを実感!(笑)
参加者の皆さんのシェアも、豊かで誠実で…。安心できる場だからこそ、言葉の奥にある本音や感情が自然にこぼれ、場全体がふんわりと温かくなっていくのを感じました。
当日の臨機応変な対応、医療従事者ならではのスピード感ある判断、そしてその連携。運営チームの一人ひとりの力が、本当に見事でした。
本番を終え、今もまだ対応を続けてくださっている方もいますが、まずはひと段落です。
関わってくださったすべての皆さんに、心からの感謝を。
(おまけ)
今朝、愛犬と散歩しながら、すれ違う方一人ひとりに心の中でそっとエールを送りました。自分の内側が穏やかに満たされていくのを感じながら…。
そして、新たな気づきと、これから形にしたいアイデアもまた、静かに降りてきました。