バスティセミナー・レポート【1日目:理論編】

By 2018-10-29 Ayurveda, Blog No Comments

10月27日・28日の週末、大阪でアーユルヴェーダ医学の中心となる治療である「バスティ(浣腸療法)」について学ぶセミナーを主催させて頂きました。一般の方々と医療関係者、計21名と講師陣で和気藹々と熱気に溢れたセミナーになりました。

メイン講師は、インドのアーユルヴェーダ医師で20年の臨床経験をお持ちのDr. プラデュムナ。

午前の3時間のレクチャーでは、アーユルヴェーダの疾患のとらえ方、発症の仕方の概念を学び、その上でパンチャカルマとは何か、どのような治療があるのか、ナスヤ(鼻からの治療)・ヴァマナ(催吐法)・ヴィレチャナ(催下法)について、そしてバスティ(浣腸療法)について学びました。
本当に盛りだくさんの内容でした。
基礎から臨床応用まで広く学んだこの3時間は、とても充実していたと思います。細かいコツやポイントを沢山お話くださったのですが、臨床経験豊かなドクターでなければ気づかないようなことを、本当に惜しみなく伝えて下さいました。さすがでした。
プラデュムナ先生のレクチャーの時、通訳をさせて頂いたのですが、私がついていけるような範囲で文章を区切ってくださったり、アーユルヴェーダの専門用語に偏り過ぎずに現代医学的な用語で説明してくださったり、相手に合わせて言葉を選んでくださった配慮にも、とても感激しました。

午後からは、現代医療の医師お二人からレクチャーを頂きました。
在宅医療を専門にされている東英子先生からは、排便とそのコントロールに関するお話をして頂き、現代医学の視点から浣腸にまつわるお話を伺いました。アーユルヴェーダ的な考察も加えて下さり、午前のプラデュムナ先生のお話ともリンクして、参加者の皆さんも午前に学んだ内容に関して理解がさらに深まったのではないでしょうか。

次に富山大学医学部名誉教授で私の外科医局員時代の恩師である、田澤賢次先生にご講演を頂きました。

先生は沢山の研究を大学でなさっていましたが、その中の一つですでに商品化されているアップルオリゴペクチンのお話や、腸内環境のお話などとても興味深いお話を伺うことが出来ました。自然界の土壌と腸内環境の共通性など、アーユルヴェーダの概念とリンクする内容も沢山出てきました。

田澤賢次先生は、クシャーラ・スートラという痔瘻の治療に使うアーユルヴェーダの治療用糸を日本で初めて臨床応用し、今も素晴らしい臨床結果を出していらっしゃいます。実は、私も外科入局後2年目の時に、田澤先生からクシャ-ラ・スートラを用いた痔瘻の手術を学び、そこで初めてアーユルヴェーダに触れたのでした。
2020年には、田澤先生が日本アーユルヴェーダ学会の大会長として、学会を主催されます。私も実行委員としてその学会に関わることを日本アーユルヴェーダ学会の理事会にて承認して頂きましたので、再来年の学会にむけて、より多くの皆様にアーユルヴェーダを知って頂けるよう、北陸から発信し続けたいと思っています。

その後は、イナムラ・ヒロエ・シャルマ先生によるハーブボールの作り方の説明がありました。日本で初めてインドの大学でアーユルヴェーダ医学を学び、アーユルヴェーダ医師となった方から直接お話をうかがえる機会はとても貴重です。皆さん、熱心にメモをとっていらっしゃいました。

最後に私が担当して、アビャンガの7つのポーズと浣腸を行う際の注意点をお伝えしました。経験が少ない私からの説明では教科書的な内容を越えられないので、プラデュムナ先生に質問をして、臨床経験に基づく補足説明をして頂きました。皆さん、大満足の1日目がこうして無事に終了しました。

2日目の実践セミナーは、次のブログで・・・。