Ayurveda for Cancer in Japanレポート

By 2018-08-13 Ayurveda, Blog No Comments

7月31日から8月4日まで、東京・表参道のサトヴィック・アーユルヴェーダ・スクール主催 Ayurveda for Cancer in Japan(日本における癌に対するアーユルヴェーダ)のプロジェクトに医療スタッフとして関わらせて頂きました。
インドからアーユルヴェーダ医師お二人をお招きした非常に大がかりなプロジェクトの第1回目とあって、私にとって全てが初めてで貴重な経験でした。

今回提供されたプロジェクトは、インドでは1994年から約1万人以上のがん患者さんに提供されてきており、現代医療とアーユルヴェーダ医療を統合したバランスのとれたプロジェクトです。今年2月に私も現地の病院に2週間滞在し、その間にがんプロジェクトの様子を実際に見学させて頂いてきましたが、「近代的な現代医療が行われている病院に医療としてのアーユルヴェーダが統合されている」という印象で、「補完医療」としてのアーユルヴェーダが非常に上手く機能しているように思えました。
今回の5日間のプロジェクトは、医療としてのアーユルヴェーダを、日本人のためにも活かしたいというインドの先生方の願いと、主催者であるサトヴィック・アーユルヴェーダ・スクールの佐藤眞紀子先生の長年の想いによって実現したプロジェクトでした。

来日されたのは、インド・プネーのワゴリにある Integrated Cancer Treatment & Research Centre の所長でアーユルヴェーダ医師の Dr. サダナンダ・サラデシュムクSir と、副所長の Dr.ヴィネッタ・デシュムクMadam 。
がんの診断を受けた方が対象のプロジェクトで、確定診断がついていない1名を含め12名の方が参加されました。
参加者には、主催者側から事前に問診票をお送りして、病歴や食事を含むライフスタイルについて情報を送って頂き、病院での血液検査結果や画像検査のレポートもお知らせ頂いていました。
インドと日本の医療システムでは異なる点が多数ありますが、一番の違いは、インドでは、患者さんが過去に受けた検査の結果(画像とレポート、血液検査結果など)の全てを自分で所持しているという点だと思います。日本の場合は、特に画像検査に関しては、主治医に依頼して結果をもらう形になります。(インフォームド・コンセントのような説明用紙は持っていることが多いですが、それすら持っていない方も珍しくありません。)

さて、インドでも一人の患者さんの問診にかける時間が非常に長かったのですが、それは日本でも同じでした!1時間半、経過が長い相談者さんの場合は2時間以上かけて問診をとっていました。(それを見越して、今回は相談者さんに座り心地の良い椅子を特別にサトヴィックさんが準備されていました。さすがの気遣いです。笑)
今回私は、診察前の問診を担当された Dr.ヴィネッタ・デシュムク の通訳と検査結果の翻訳や補足説明を担当させて頂いたのですが、そのおかげで アーユルヴェーダでは具体的にどのような情報を必要としているのかが詳しく分かり、とても勉強になりました。

一番驚いたのは、歯磨き粉の種類まで質問していたことです。思わず「何に必要なのですか?」とヴィネッタ先生に尋ねたところ、「インドでは歯磨きを習慣化させるためにタバコの成分が含まれているものがあるからよ。」とのことでした。日本では考えられないことです。(Incredible India! と思わず言って、患者さんと一緒に笑ってしまいました。)

詳しい問診の後は、いよいよ Dr. サダナンダ・サラデシュムク のコンサルテーションです。

12名の診察の様子を見学させて頂き感じたことは、患者さんの性格や医学的な問題点、体力面や家庭環境などから、どのような対処法を勧めるか、その伝え方まで変えているということでした。さすがでした・・・。アーユルヴェーダの詳しいことは、アーユルヴェーダ初心者の私にはまだまだ分からないことばかりでしたが、医師の在り方として大変参考になることが多く、充実した5日間でした。

最終日の最後は、ヴィネッタ先生の「癌とアーユルヴェーダ」のレクチャーが開催されました。

アーユルヴェーダにおける癌治療の原則や、実際の治療について分かりやすく説明して下さいました。豊富な臨床経験から、化学療法と放射線療法にアーユルヴェーダ治療を併用することで、それらの副作用を最小に抑え、治療後も速やかな回復(免疫力の賦活化)が期待できるとの説明は説得力がありました。

再発予防にも効果を認めており、現代医療に関わる医師の立場から見ても、アーユルヴェーダは歓迎すべき補完医療であると感じました。
(ケースレポートの一部は、サトヴィックさんのホームページにも紹介されています。)

とても充実し忙しかった5日間でしたが、ビックリするほどドクター達はタフ!最終日の夜遅くまで次はどうする?の話を熱く語り、翌朝も帰国前に早朝からミーティングされていました。(汗)

この5日間、睡眠時間を削って、参加された皆様のために準備とサポートをしていらしたサトヴィックの佐藤眞紀子先生、それを支え素晴らしいチームとして働いていらっしゃったスタッフの皆様、本当にお疲れ様でした。
これからも、伝承医学としてのアーユルヴェーダが、必要としている多くの方々の元に届けられることを願っています。この貴重な機会を与えて頂けたことに、心より感謝致します。

→Integrated Cancer Treatment & Research Centre
 http://ayurved-for-cancer.org/in/ictrc/
→サトヴィック・アーユルヴェーダ・スクール
 http://satvik.jp/